目次
はじめに
今となっては当たり前になったマルチ出力。例えばマルチ出力に対応したドラム音源は出力を分けておけばオーディオにして書き出す際、キック、スネア、ハイハットと自動的に各トラックをマルチチャンネルで書き出してくれるというとても便利な機能です。
ですが、例えばピアノ音源で右手と左手を別々に書き出したい時に、ピアノ音源はマルチ出力には対応していないため、通常ですと右手用のピアノ音源のトラックと、左手用のピアノ音源の計2つのピアノ音源のトラックを作る必要が出てきます。
ただ、音源が重かったり、どちらかの音源の設定を変えてしまってもう一つの音源の設定を変えるのを忘れてしまうと、書き出した際に音色が異なってしまったりと、うっかりミスが増える可能性があります。
そこで、今回は1つの音源に複数のトラックを割り当てる方法をメモします。
マルチ出力の無い音源に複数のトラックを割り当てる方法
では、実際の割り当て方法です。例としまして、1つのピアノ音源で右手用と左手用に2つのトラックを割り当てる方法を解説します。まずは下記画像の様にピアノトラックを1トラック作ります。
作った際に左側のピンクの四角で囲われた部分が Inst 〇〇(任意の数字)になっている事に注目して下さい。
今回の場合は Inst 1 となっております。

続いて下記画像の様に「+」ボタンをクリックして新規にソフトウェア音源を1つ作成します。

下記画像の様にソフトウェアトラックが作成されました。
ピンクの四角で囲われた部分が、「Inst 2 」になっている事に注目して下さい。

次に、Inst 2のトラック名付近で右クリックをします。
そして下記画像の様に、
トラックを割り当て直す → ミキサー → ソフトウェア音源 → 複数トラックを割り当てたいトラック(今回はPiano)
と進み「Piano ( Inst 1 )」のところでクリックします。

そうしますと、下記画像の様に上のトラックと一緒のトラックカラーになり、トラック名が「Piano」となり、ピンクの四角で囲われた部分が上のトラックと同様の Inst 1 に変わります。
これで1つのピアノ音源に2つのトラックを割り当てる事ができました。
1つの音源ですが、アレンジウィンドウ上でのトラック名を変える事は可能ですし、ミキサー上のトラック名を変える事ももちろん可能です。
録音も各トラック個別に録音する事が可能で、先に右手のトラックを選択して右手の録音を行った後、左手のトラックを選択して左手の録音をする事ができますので、ピアノを両手で弾く事ができなくても問題なく対応できます。

マルチ出力の無い音源に複数のトラックを割り当てた際の注意点
注意点は主に2つです。
1.トラックのミュートボタンやソロボタンを押すと、全部押されてしまう。
例えば、「右手パートのトラックだけ聴きたい」という時に、左手パートのミュートボタンを押すと、
右パートのミュートボタンも押されてしまいます。

音源は1つしか使っておりませんので、当然と言えば当然なのですが、ソロも同様の事が起こります。
ですので、どちらかのトラックだけを聞きたい場合は、トラックをミュートするのではなく、下記画像の様にクリップをミュートする事で特定のトラックだけ聴く事ができる様になります。

2.音源は1つなので、プラグインエフェクトは全トラック共通になります。
こちらも、当然と言えば当然なのですが、音源は1つしか使っていないため、ミキサー上は下記画像の様に「Piano」という1トラックだけが作成されている事になるので、プラグインも1トラック分となります。
そのためアレンジウィンドウに複数割り当てられている全トラックにミキサー画面でインサートしたエフェクトが適用される事になります。
こちらの仕様は、ピアノみたいな楽器ではあまり問題とされないと思うのですが、例えばマルチ出力のないドラム音源などの場合は、キックにEQをかけようとすると、その設定がスネアやシンバルのトラックにも適応される事になりますので、注意が必要です。

最後に
如何でしたでしょうか??
実はこの機能はマルチ出力音源が出回る前は当然の如くあった機能で、Logic内の階層的にももっと浅いところにあり、ショートカットも存在しておりました。
ですが、最近ではマルチ出力音源が主流になってきたというのと、PCの性能が上がった事により、重たいプラグインもそこまで負荷をかけずに複数立ち上げる事が可能になったため、徐々にこの機能の優先順位が下がり、階層が深くなっていき、結構探さないと辿り着けない機能となってしまいました。
慣れると、アレンジの整理整頓や、オーディオに書き出す際にとてもスムーズになりますので、
是非一度お試しください。
最後まで読んで頂きありがとうございます。皆様の制作のご参考になれば幸いです。