目次
はじめに
以前、ステレオ仕様のインストゥルメントトラックをモノラルに変換して書き出す方法を書きました。
ご興味のある方は、下記記事をご覧になってみてください。
同じ問題で困ってる方が多々いらっしゃるようで、それなりの反響を頂けました。
ありがとうございます!
ただ、それと同じくらいに
「オーディオトラックはどうやるの??」
という質問を頂いたため、今回は ステレオオーディオトラックをモノラルに変換して書き出す方法 をメモしたいと思います。
ステレオトラックをモノラルに変換したい時はどんな時??
ミックスの仕事をする際、マルチトラックをオーディオファイルでもらうのですが、
・モノラルで録ったバッキングギターがステレオで書き出されている。
・本来マイク1本でレコーディングされるはずの音素材がステレオで書き出されている。
(例:ドラムのキックをマイク1本(モノラル)で録ったはずなのに、もらったデータはステレオになっている。)
・何もエフェクトをかけていないベースのライントラックがステレオで書き出されている。
このような事は多々あります。
ただ、ステレオになっているからと言って困るかというと、実際はトラック数が50トラックとかを超えなければさほど困りません。
50トラックを全てステレオでもらった場合、モノラル換算で100トラックとなりますので、プラグインエフェクトを多用すると、今時のPCスペックでもちょっと重たくなってくる様に思えます。
また、例えば1トラックにギターのイントロのソロと間奏のソロが入っているけど、違うエフェクトをかけたいから別トラックにしたいという場面も多々あり、その場合ステレオチャンネルを新規で作成して別々のチャンネルにイントロ部分と間奏部分を割り当てる事になります。
その場合、オーディオデータとしては、1トラックを切り分けてるだけなのですが、DAWソフト内では「ステレオトラックが1つ増えた」という換算になり、また少しずつ重くなっていきます。
また、エンジニア視点から見ても、モノラル想定のトラックがステレオになっていると、なんだか気持ち悪いと思ってしまうのも事実です。
個人的には、左右いっぱいに振り分けたいダブリングのバッキングギターを両方ステレオトラックでもらった時などに強く感じるのですが、パンを目一杯振り分けるトラックがステレオというのにとても違和感を覚えます。
上記の様な観点から、
「モノラル想定のトラックはモノラルに変換する。」
というのはDAWを扱う上でとても大事だと個人的に思っております。
>>ステレオトラックをモノラルに変換して書き出す方法01
やり方は簡単です。
サンプルとして、下記画像の様にモノラルに変換したいバッキングギターを2トラック用意しました。
Logic Pro ではステレオファイルの場合、クリップには上にLチャンネル、下にRチャンネルが表示され、クリップ名の横に◯が重なった等なマークが付きます。
そして、ミキサーにはInputの部分に◯が重なった様なマークが付き、メーターもLR表示になります。
上記画像の状態でミキサーのInputの横の◯が2つ重なっているマークをクリックします。
クリックすると下記画像の様に、オーディオクリップはステレオ表示ですが、ミキサーは◯のマークが1つになり、音はLRを合算したモノラルチャンネルとして機能する様になります。
次に、下記画像の様に
・書き出したいクリップを右クリック
・出てきたプルダウンの一番下の「書き出す」から「オーディオファイルとして書き出す」を選択します。
すると下記画像の様に書き出しメニューが出てきますので、必要に応じて変更し、「書き出す」をクリックします。
※デフォルトでは書き出されるファイルはセッションファイルがあるフォルダ内の「Bounces」フォルダに書き出されます。
変換したファイルを読み込んでみます。
下記画像の様に◯が1つになり、無事にモノラル変換ができました。
1つ目の変換方法は以上です。
>>ステレオトラックをモノラルに変換して書き出す方法02
上記の変換方法をご覧になった方の中で変換方法に違和感を感じた方がいらっしゃるのではないでしょうか??
上記の変換方法は簡単に言ってしまうと、
「ステレオファイルを合算してモノラルトラックとしてオフラインバウンスで書き出す。」
という方法です。
という事は、厳密に言うと元音とは異なる音なのではないか??
という違和感を感じたのではないでしょうか??
実は僕もそう思ってしまう方で、モノラルトラックにできる事はできるのですが、なんだか腑に落ちないなぁ。。。といつも感じております。
2つ目の方法はそんな違和感を感じる方にもお勧めの方法です。
こちらもやり方は簡単で、昔からある手法です。
まず下記画像の様に、変換したいステレオトラックを右クリックし、
「変換」から「新規オーディオファイルに変換」を選びます。
そうしますと、下記画像の様な画面が出てきますので、
1.一番上のファイル名のところで変換前のファイル名とは違う名前を付けます。
※同じファイル名にしてしまうと、保存先を変換前のステレオファイルがあるフォルダと一緒にしてしまった場合、上書きされてしまうか、エラーメッセージが出て保存できませんので、ご注意ください。
2.保存先を選びます。
※元のステレオファイルと違う場所を選ぶ事をお勧めします。
3.ステレオ変換を「インターリーブをスプリットに」を選択します。
※これが一番のポイントです。
4.「保存」をクリックして書き出します。
書き出されたフォルダをみると下記画像の様に、先ほど付けたファイル名に「.L」と「.R」と追記された2つのモノトラックが書き出されます。
これでどちらかのトラックを読み込めば良さそうなのですが、この状態ですと下記画像の様に、
片方のトラックを読み込むと自動的にもう片方のトラックも読み込まれ、Logic Pro上では1つのステレオファイルとして認識されます。
この解決策ですが、例えば「.L」側のモノラルトラック読み込む場合、
1.「.R」側のトラックをゴミ箱に入れて削除する。
2.残った「.L」側のトラックのファイル名の「.L」を消す。
で解決できます。
こうする事で、下記画像の様に Logic Pro もモノラルトラックとして認識し、無事に変換作業を完了できます。
最後に
如何でしたでしょうか??
最後に1つ注意点です。
今回は使用するDAWを Logic Pro に限定してメモしましたが、2つ目の変換方法はDTMがオーディオファイルを扱う様になると同時にできた変換方法で、かなり昔から存在する手法で、主要なDAWであればどのDAWにも実装されている機能です。
以前は Logic Pro や他のDAWでも「.R」側を捨ててしまうと自動的に「.L」側も捨てられてしまっていた様な記憶があり、もしかすると今でもそれを引きずっているDAWがあるかもしれません。
個人的にはDAWの問題というよりかは、OSの音声ファイルの認識の仕方なのではないかと思っており、その場合は少なくとも今より10年前くらいのOSであれば自動的に「.L」側が捨てられてしまう事はありません。
ただ、DAW側はスプリットファイルを書き出す際に2つのファイルを紐付けるタグ付けの様なデータをオーディオファイルに書き込むのですが、その書き込みの仕様によっては今でも自動的に「.L」側が捨てられてしまうという事もありえますので、他のDAWで2つ目の変換作業をする際は、一度確認してみたほうが良いと思います。
「.R」側を捨てないで取っておく方法としましては、DAWはスプリットファイルを読み込む際、ファイル名の最後に「.L」「.R」という文字が入っていればステレオスプリットファイルとして認識する様ですので、
「.R」を「(R)」
「.L」を「(L)」
の様にファイル名を変える事で、解決できます。
最後まで読んで頂きありがとうございます。皆様の制作のご参考になれば幸いです。