目次
はじめに
有料でメジャーなDAWソフトのほとんどにある機能で、打ち込んだ複数のインストゥルメントトラックを一括処理でそれぞれオーディオに書き出す機能があります。例えば Logic Pro X では下記画像のようにKickとSnareのトラックがある場合、2つを選択した状態で、
選択したトラックを右クリック → 書き出す → オーディオファイルとして書き出す
を選択すると、下記画像のような画面になり、様々な書き出し方法を選択して 書き出す ボタンをクリックする事で、Kick と Snare のトラックを一処理で書き出す事が可能です。パターン を リージョン名 にしておく事で、書き出したファイル名がリージョン名になるのが、とても便利です。
ただ、この機能で個人的に唯一不満なのが、
ステレオしか選択ができないインストゥルメントトラックをモノラルで書き出す事ができない
という点です。
例えば下記画像の様に、Logic Pro X に標準搭載されている Sampler はトラックに挿す際、モノラルかステレオかを選択する事ができるため、Sampler 内の音色をモノラルで書き出したい時は、モノラルを選択して、先に述べた機能を使えばモノラルで書き出せますが、Ultrabeat は、トラックに挿す際にモノラルの選択ができないため、強制的にステレオトラックになってしまいます。
そのため、Ultrabeat 内の音色でモノラルで書き出したい音色(例えば 909 の キック など)も オーディオファイルに書き出す 機能を使った場合ステレオで書き出されてしまいます。
今回はちょっとした工夫で オーディオファイルに書き出す 機能を使って Ultrabeat のようなステレオしか選択ができないインストゥルメントトラックをモノラルで書き出す方法のメモです。
ステレオのインストゥルメントトラックをモノラルにする方法
先に答えを言ってしまうと、
ステレオトラックにモノラルのエフェクターを挿す
という事が答えになります。
下記画像は同じ Ultrabeat のトラックですが、KickMonoトラックには Logic Pro X に標準装備されている Gain のエフェクターをモノラルで挿しているのでトラック自体がモノラルトラックに変換されています。
一方隣の SnareStereoトラックはモノラルのエフェクターを挿していないので、トラック自体もステレオのままです。
工夫が必要なのは、トラックを作った際にエフェクターを挿す順番です。
空のインストゥルメントトラックを作ったら、下記画像のように
必ず音源のプラグインを挿す前にモノラルのエフェクターを挿してください。
先にモノラルのエフェクターを挿す事で、ステレオの音源を挿してもトラックはモノラルの状態を保持できます。
下記画像のように、先にステレオの音源を挿してしまった場合、エフェクターを挿してもステレオしか選択する事ができなくなり、トラックのモノラル化もできなくなります。(デュアルモノはモノラルとは別物です。)
オーディオファイルに書き出す際の注意点
これで、ステレオトラックをモノラルで書き出せるようになったのですが、注意点としまして、下記画像のように、
・トラックでモノラルのエフェクターをバイパスするとトラックの表示上はモノラルでも書き出されるファイルはステレオになってしまう
・オーディオファイルに書き出し 機能の書き出し方法を選択する画面で、エフェクトプラグインをバイパスにチェックが入っていると、モノラルで挿したプラグインがバイパスされ、ステレオで書き出されてしまう

上記2点を注意してください。
最後に
如何でしたでしょうか??この方法を知るまでは新規でモノラルのAUXトラックを作って、そこにモノラルにしたい音源をBusで送り、Outputトラックをモノラル2chに分けてからトラックのBncボタンを押して1トラックずつモノラルでバウンスする。。。という工程を繰り返していたので、モノラルトラックにしたつもりがステレオのままになっていたり、1トラックずつの処理になるのでバウンス自体をし忘れてしまったトラックがあったり、Aux経由になるのでレイテンシーがありそうなのが気になったり、とにかく時間がかかったりとストレスがとても溜まる作業だったのですが、この方法を知ってからはオーディオファイルに書き出す作業時間は大幅に短縮され、ミスもなくなり非常に快適になりました。
モノラルのエフェクターをバイパスするとステレオで書き出されてしまうので、モノラルで挿すエフェクターは EQ とか コンプ 等、挿しただけで音が変わりそうなエフェクターよりも Gain などの音の変化に関係がないユーティリティ的なエフェクターが良いかと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございます。皆様の制作のご参考になれば幸いです。